映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」【解説】時代を超えて走り続ける奇跡の映画を完全解説![ネタバレ]

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「これまであなたが観てきた映画の中で一番面白かった映画はなんですか?」

と聞かれたとき、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」と答える方は多いと思います。

こと「面白さ」と言う点においては、この映画が持つポテンシャルの高さを誰も否定しないでしょう。

もちろんこの私も、公開当時、この映画の面白さに度肝を抜かれ、以後ロバート・ゼメキス監督の作品を追い続けることになりました。

今回は、「感想」と言うよりも「紹介?」「解説?」・・・みたいなものになってしまうと思いますので、そこんとこよろしくです。

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映画の概要

  • 監督:ロバート・ゼメキス
  • 脚本:ロバート・ゼメキス、ボブ・ゲイル
  • 製作:ボブ・ゲイル、ニール・カントン
  • 製作総指揮:スティーブン・スピルバーグ、キャスリーン・ケネディ、フランク・マーシャル
  • 出演者:マイケル・J・フォックス、クリストファー・ロイド
  • 音楽:アラン・シルヴェストリ
  • 主題歌: ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース『The Power of Love』
  • 撮影: ディーン・カンディ
  • 編集: ハリー・ケラミダス、アーサー・シュミット
  • 配給: ユニバーサルスタジオ、UIP
  • 公開:1985年7月3日

解説(ネタバレ)

製作決定までの道のり

ゼメキスとゲイル、この二人に関わったら失敗する!

皆さんご承知のとおり、この「バック・トゥ・ザ・フューチャー(以下「BTTF」と言います。)は、監督:ロバート・ゼメキス、製作総指揮:スティーブン・スピルバーグと言う、今にして思えば、とんでもない超豪華タッグによる作品でした。

「今にして思えば」と言うのは、この時期において、スピルバーグは誰もが認めるヒットメイカーとして、その名を世界にとどろかせていましたが、ロバート・ゼメキス監督はと言いますと、まだまだ「知る人ぞ知る」と言った状況だったのです。

1984年の「ロマンシング・ストーン 秘宝の谷」がヒットして、なんとか、このBTTFが公開される1985年には、それなりに名の通った監督となっていましたが、それまでは、まだまだ、ヒット作のない監督でしかなかったのです。

1979年、スピルバーグが監督した「1941」で、ロバート・ゼメキスとボブ・ゲイルが共同脚本を務めていますが、皆さんご承知のとおり、この映画は興行的に大失敗をしています。

続く1980年、ゼメキスが監督を務め、スピルバーグが製作総指揮に回った、「ユーズド・カー」も、作品としての出来は良かったものの興行的にはうまくいかず、こちらも残念ながら大赤字の作品となってしまいました。

結果、この2作の失敗により、ロバート・ゼメキス監督と脚本家のボブ・ゲイルは、「この二人に関わったら失敗する」と言う悪評を背負うことになるのです。

脚本開始から製作決定まで

ユーズド・カーが公開された1980年頃から、ゼメキス・ゲイルコンビは、BTTFの脚本を書きはじめることとなります。

ある程度のプロットが出来上がると、それを持って映画会社に売り込みをかけたのですが、どの会社からも相手にしてもらえない状況が続きました。

各社の言い分としては、「話しが甘すぎる」「コメディはR指定くらいでないとヒットしない」などと言う意見が大半だった様です。

ディズニー(当時、マイケル・アイズナー体制)にも持って行ったのですが、こちらは、ほかの各社とは逆に「下品だ」「母親の行動が子どもに見せられない」と言った理由で断られたのでした。

結局、ディズニーには「下品だ」と言われ、ほかの各社からは「ワイセツさが足りない」と言われ、八方ふさがりの状態だったのです。

それでも、スピルバーグだけは気に入ってくれた様ですが、あの2作の大失敗の苦い思い出があったため、スピルバーグも、まだまだ、この二人の作品に気軽に手を出せる状況ではなかったのです。

そして、構想から3年経ち、ようやく1984年の「ロマンシング・ストーン」のヒットを機に、スピルバーグも重い腰を上げ、ユニバーサル映画としての製作が実現することとなるのです。

魅惑のキャラクター達

主役マーティー役の交代劇

当初、主人公:マーティ・マクフライ役は、「マスク」エリック・ストルツに決まっており、撮影にも入っていました。

しかし、ゼメキス監督もゲイル氏も、ストルツはコメディに不向きであり、明らかにミスキャストであると判断していました。

そこで、前々から候補にあげていた「マイケル・J・フォックス」を獲得したい旨スピルバーグに相談。
同意見だったスピルバーグが、ユニバーサル社長:シド・シャインバーグに掛け合ってくれたことで、マイケル獲得の話が進みだします。

そうは言っても、当時、テレビドラマ「ファイミリー・タイズ」で大人気だったマイケルは多忙で、獲得困難であることが予想されました。

ファミリー・タイズのプロデューサーに掛け合った結果、「マイケルがやりたいのであれば、ファミリー・タイズの撮影を最優先とすることを条件に承諾する」と言った回答を得ることができます。

当のマイケル自身も、脚本を読んだ段階で「絶対にやりたい」と意欲を持ってくれたため、ファミリー・タイズの撮影が終わる夕方から翌朝をBTTFの撮影時間とすることで契約成立。
マイケルが主役として決定したのです。

しかし、ファミリー・タイズとのカケモチ撮影は非常に過酷を極め、ほとんど睡眠がとれない状況の中マイケルは、若さと情熱だけでなんとか乗り切っていきます。

クリストファー・ロイドの演技に対する姿勢

当初、監督達がドク役に考えていたのは、名バイプレイヤーのジョン・リスゴーでした。

しかし、なかなか交渉が折り合わず、製作のニール・カントンの手配でクリストファー・ロイド(以下「クリス」と言います)に白羽の矢が立ち、会うことになったのです。

そして、ゼメキス監督は、クリスに会った瞬間「ドク・エメット・ブラウンがいた」と感じたのです。

クリスは、その芸風からは考えられないくらい非常にシャイな人物でした。

撮影中はほとんど無言で、監督からの指示に、ただ「OK」と言うだけだったのです。

ただ、演技にかける情熱は非常に強いものがあり、毎回の撮影ごとに微妙に演技を変えてみるなど、常に役柄の幅を持たせながら演技に臨むタイプでした。

編集の際に、「撮りごとに違う演技をしているぞー!」っと、監督がクリスの演技に驚いたと言います。

また、身長188センチのクリスと、非常に小柄なマイケルの2ショットの多いこの映画において、彼は、ズッと背を曲げてフレーム内に収まり続けてくれていたそうで、なんとも細やかな神経の持ち主でもあったのです。

リー・トンプソンの完璧な役作り

ロレイン役のリー・トンプソンについては、監督曰く「非常に演技力があり、美人だし、監督の指示どおりに動くことができた。ただただ完璧であり、ひたすら素晴らしかった」とベタ褒めです。

時間は守る。セリフは覚えてくる。演技は的確・・・と、個性的な役者が多いこの映画において、監督にとっては、すべてが任せられる夢の様な存在だったのです。

ロレインは、映画の中で、18歳と45歳のそれぞれの年代を演じているのですが、この映画では、メイクアップ手法により歳をとらせています。

メイク担当のケン・チェイスによれば、18歳を75歳に見せるのはそれほど難しくないが、45歳と言う年代への変更は、当時の技術では非常に難しかったと言っています。

75歳であれば顔全体にメイクを施せるが、45歳と言う微妙な老けメイクの場合は、俳優の顔が動く様に一枚一枚個別に人工皮膚を作っていく必要があるとのことで、その当時、そういった事例は少なく、会社側としては、「よく似ている別の俳優でやらせた方がよい」との意見だった様です。

しかし、ゼメキス監督とケン・チェイスは新しい技術に挑戦し、見事な老けメイクを実現するのです。
もちろん、リー・トンプソン自身による、姿勢や身振り、表情などの演技力によるところも非常に大きかったのは言うまでもありません。

クリスピン・グローバーの奇怪な芸風

マーティの父親:ジョージ・マクフライを演じた「クリスピン・グローバー」の、あの独特の芸風は、監督の演出ではなく、グローバー本人が作りあげたものだったとのことです。

グローバーは、かなり自分勝手にキャラクター作りをするタイプだった様で、監督の指示は無視し、服装や髪型も自分で提案してくるのだそうですが、それがあまりにも奇怪で、それをなんとか抑えるのが監督の役目だったとのことです。

映画の終盤、カッコよくなったジョージのシーンがあるのですが、彼は、このジョージが、自分のイメージの服装と合わず、イヤイヤ演じてたとのことです。
クリスピンが望んでいた服装は、「グレーのダブダブのズボンに袖なしのタンクトップ」と言う格好だった様で、実際にそれを着てスタジオ中を歩き回り、周りのスタッフにアピールしていた様ですが、誰も「いいね」とは言わなかったのでボツになったと言うことです。

また、カフェテリアでジョージが小説を書いてるシーンがあるのですが、そこでは、「どうしても髪を逆立てたい」と主張したらしいのです。「小説を書く時は誰でも普通そうなるんだ」っと言うのが彼の理屈ですが、前日に取った同じシーンと食い違うので、これも却下。

とにかく、このクリスピンは、独特の感性で役作りをし、それを主張してくるタイプなので、監督はそれを抑えるのが大変だったった様です。

スピルバーグは、どこまで関与していたのか?

スピルバーグは、この映画については、ゼメキス監督の意見を尊重し、一切干渉しなかったとのことです。

シャインバーグ社長から、いろいろと無理な注文が来たときでも、スピルバーグが間に入って、うまくまとめてくれたりして、この映画におけるスピルバーグは、ゼメキス監督を信頼し、製作総指揮としての立場をわきまえて行動していたようです。

「ポルターガイスト」の時には、演出に首を突っ込み過ぎて、ホラーが大得意のトビー・フーパ―監督の良さを殺してしまい、ちっとも怖くないホラー映画になってしまった苦い経験がありましたが、この映画では、そこをグッと堪え、ゼメキス監督の良さを全面に押し出すことに成功しているのです。

駆け出しだったILMの仕事っぷり

この映画は、タイムワープシーンが派手なため、当時SFXと呼ばれていた、いわゆる「特殊効果」がフンダンに使われた映画の様に感じますが、実は、映画全体で30ショット程度しか使われていなかったのです。

当時のILMは、まだまだ駆け出しで、コンピューター制御など一つもなく、特殊効果は、全て旧式のオプティカル(光学合成)で処理していたとのことです。

ラストの車が飛ぶシーンは、ミニチュアを組み、スターウォーズの宇宙船と同じ手法で、モーションコントロールカメラを使った撮影です。

ゼメキス監督は、当初、ILMの実力を疑っていて、出来上がりを非常に心配をしていた様ですが、結果、完璧な仕事をしてくれたと絶賛したとのことです。

ポストプロダクションは大慌て

1985年の4月20日に撮影が終了したのですが、7月4日の公開までの9週間半で編集を終えなければなりません
これは、ポストプロダクションの常識を覆す、到底不可能な日数だった様です。

主役を交代させた時点で、ユニバーサルは、7月4日の独立記念日での公開を諦めていたようですが、試写を見たシャインバーグ社長が、そのあまりの面白さに興奮し、「どうしたら7月4日に公開できる?」と監督に聞いてきたらしいのです。

そのとき監督は、キッパリと「小切手を切ってくれ」と頼み、それに対しシャインバーグは、「よし、いくらかかってもやれ」と答えたと言うことです。

結果、人数を増員して、なんとか7月4日に間に合わせたのでした。

そして空前の大ヒット!

こうして、なんとか完成したBTTFは、1985年7月4日の独立記念日の前日に公開を迎えることができたわけですが、皆さんご承知のとおり、映画は大ヒットすることになります。

それまで、「コメディSF映画は当たらない」「タイムトラベルものは当たらない」と言う映画界の常識を覆し、公開から「メッチャ面白い」との評判が瞬く間にアメリカ全土に広がりました。

ラストの、未来に飛び立つデロリアンのシーンは、いかにも続編を予感させるものでしたが、ゼメキス監督は、「続編をやるつもりなら、女の子は乗せていない!」と、もともと続編を考えていなかったことを明言しています。

映画が儲かるかどうかも分からなかったわけで、ゼメキス監督の頭には全く続編のことなどなく、あくまであのラストシーンはジョークのつもりで作ったものだと言っています。

しかし、空前の大ヒットをしたことで、会社側が放っておくはずもなく、パート2、パート3と続編が作られることになります。

確かに、この続編の2作もスコブル面白い作品ではありましたが、どうしても後から辻褄を合わせにいった感もあり、「面白さ」「楽しさ」と言う点において第1作を超えるまでには至りませんでした。

それほど、この第1作のBTTFの出来は、飛びぬけていたと言うことです。

時代を超えて走り続ける奇跡の映画!

この第1作を傑作たらしめた要因の一つとして、1985年から1955年へのタイムワープと言う絶妙の時代設定が考えられます。

公開年である1985年を当時の「現在」として位置づけ、その時点で45歳だった両親が高校生だった時代となれば、必然的に1955年になります。

この1955年と言えば、ロックンロールをかわきりに、サブカルチャーの中心が10代の若者世代に以降し始めた時代であり、アメリカが最も華やかで、キラキラと輝いていて時代とも言えます。

この第1作は、そんな時代を舞台として作られたスコブル明るい青春コメディで、主人公がロックンロールの発明とスケボーの発明に関わっていると言う映画的興奮まで用意され、しかも、現代と過去を超絶カッコいいタイムマシンで走り抜けるとなれば、もはや、当時の若者達の心を鷲づかみにしてしまったのは必然だったのではないでしょうか。

そしてこの映画は、何年たっても人気・評価ともに衰えることなく、いつまでも愛し続けられる作品となっていくのです。

正に「時代を超えて走り続ける奇跡の映画」、それが「バック・トゥ・ザ・フューチャー」なのです。

「PARTⅡ」「PARTⅢ」の解説もアップしております。よろしかったら覗いてやってください。

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